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『鬼火』(おにび)は、探偵小説家の横溝正史が1935年(昭和10年)2月号と3月号の「新青年」にて発表した作品であり、また、それを表題作とする短編集である。 昭和8年(1933年)に横溝が喀血し、信州諏訪にて転地療養中に昭和9年(1934年)の秋から冬にかけて書き上げた。その間、体調のよい日でも一日に3、4枚しか原稿が書けず、過労困憊しながらも、3ヶ月あまりもかけて「鬼火」はようやく書き上げられた。しかし、「新青年」に掲載されるも、描写の一部が当局の検閲に触れ、一部削除を命じられた。 昭和10年(1935年)に同タイトルの短編集(春秋社版『鬼火』)に収録の際、著者により削除個所の補填改稿がなされ、以来、長らく春秋社版テキストが流布していたが、昭和44年(1969年)に刊行された桃源社「鬼火・完全版」は、幸いにして削除の難を逃れた「新青年」を中井英夫が保有しており、これを基に刊行されたものである。また、昭和50年(1975年)に発売された角川文庫版の「鬼火」は、この桃源社版「鬼火」が底本とされるも、さらに著者が大幅な加筆修正を行った。この角川版の校正には中島河太郎があたっている。 そして、後年出版された、創元推理文庫「日本探偵小説全集9・横溝正史集」は、角川版を底本としつつ、「新青年」掲載の折に当局から削除を求められた部分をゴシック体で表現、さらに当時の挿絵を描いた竹中英太郎の挿絵が全て収録されている。こういった点からも、「鬼火」は、この創元推理文庫版が決定版であろうと思われる。 == 関連項目 == * 日本における検閲 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「鬼火 (横溝正史)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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